「メディカル・トピックス」VOL.2  アイシングについて

ICEING(アイシング : 冷却療法)


~初めに~


 皆さん誰もがしっているであろう言葉で、実際行なっているアイシング。しかしアイシングにはいくつか種類があり、場面に応じて使い方は様々です。
ケガの発生直後や治療、リハビリテーションなど多くの場面で使われるのがアイシングです。
このアイシング方法や必要性を簡単に紹介したいと思います。

《応急処置のアイシング》

一番馴染みのあるアイシングだと思います。捻った・ぶつけた・蹴られたなどの急性の毛賀が発生したときに生じてしまう炎症と組織の破壊・出血を最小限に抑えます。ここで述べている炎症とは・・・

・    痛み
・    腫れ
・    発赤(痛めた部位が赤くなること)
・    熱感(痛めた部位が熱くなること)
・    機能障害(痛めた部位が動かしにくくなること)

以上の5つ(炎症の五大徴候)をさします。
そしてここで行なうアイシングをRICE処置といいます。RICE処置とは

・    REST(休息)⇒ケガをした部位を動かさず安静にさせた状態。
・    ICE(冷却)⇒冷やすことで血管を収縮させる。また細胞を一時的に仮死状態にする。
・    COMPRESSION(圧迫)⇒組織からの出血を抑え、腫れ・むくみを抑える。
・    ELEVATION(挙上)⇒心臓よりも高く上げることで、血液を痛めた部位に集まりにくくする。

これらの頭文字をとりRICE処置といいます。
サッカーの本場のイングランドではPRICEと言い、P=Protection(保護)が入ます。

この処置は痛めた後早期に行なうことをオススメします。例えば痛めて30分後に行なっても、最早時すでに遅し・・・。2人の選手が全く同じ部位を同じ程度で痛めたと仮定して、RICE処置を早期に行なうか行なわないかで、リハビリテーションも競技復帰も予後が全く変わってきます。
皆さん、RICE処置は早期に行なう事がポイントなのです。
次にどのくらいの時間行なうべきかお話しします。

《RICE処置の時間の目安》


RICE処置は冷やす時間も大切です。実施時間が長すぎれば逆に悪化し、短すぎても意味がありません。RICE処置の目安はだいたい15分~20分とされています。
氷を当ててから身体が感じる感覚を4つに分けてみます。

・    レベル1⇒ジーンとした痛み。(開始から5分間くらい)
・    レベル2⇒なんとなく暖かい感じ(開始5分後くらいから)
・    レベル3⇒針でつつかれるようにビリビリする。(開始10分後くらいから)
・    レベル4⇒感覚がなくなる。(開始15分後くらいから)

このレベル4までいけばRICE処置終了です。ただあくまで目安なので、年齢によって異なる場合もありますのでご注意を。


《RICE処置まとめ》

簡単に応急処置のアイシングについてお話しましたがいかがでしたか?
時たま目にすることがありますが、足首を捻ったのにもかかわらず水道水で水を延々と当てている人。氷を当てながらも全く圧迫と挙上をしていない人。湿布をして冷やしたと勘違いしている人。
 

一度強く蹴られたり、捻ってしまったら、その部位の組織を痛めてしまっていることには変わりありません。「捻挫はケガじゃない」という人もたまにいますが、捻挫も十分立派なケガです。
先ほども言いましたが、RICE処置の遅れはプレー復帰を遅らせます。しかしRICE処置を早期に行なうことで炎症状態・組織の破壊を最小限に食い止めることが大切なのです。

知識として知っておいていただきたいことがあります。救急バックにあるコールドスプレー。
あれは、アイシングとは全く違うものです。コールドスプレーは瞬時に皮膚の熱を奪い、通常の皮膚の熱と傷害時の皮膚の熱を比べるときに使う応急処置道具です。ですからむやみやたらに使うとただの無駄使いになってしまうので注意してください。
その他に、氷以外のもので冷やすことはあまりオススメしません。なぜなら氷では温度が0度以下になることはめったにありませんが、市販のアイスパックのようなもので冷やしてしまうと温度が0度以下まで下がってしまうので、低温やけど(凍傷)になってしまう可能性があるので注意しましょう。
アイシングはとても奥が深く、ここでお話ししたことはほんの一部です。もし興味があれば本を探して読んでみるのも面白いと思います。

最後に筋肉などが疲れているときに使えるアイシングについてお話します。



《疲れているときのアイシング方法》

疲れているときのアイシング方法はRICE処置とは違います。その方法をいくつか紹介したいと思います。

・    冷水浴⇒大きいバケツなどに氷と水を入れて、身体を冷やします。だいたい10分~15分くらい冷やしたら、軽く身体を動かしましょう。

・    交代浴⇒風呂場でお湯につかる。そしたら冷たいシャワーを2分間かける。そしてまたお湯につかる。これを3~5回繰り返す。

これらは全て冷やした後に身体におこる反射という反応を利用したリフレッシュ方法です。
アイシングと違いますが、プールや湯船に20~30分入ったりすることも水圧を利用しての回復方法の一つです。
疲れを貯金しないように、ぜひ試してみてください。


文責 八王子サッカー協会医事委員会 医事委員会委員 常盤 聡